コラム

ひとり鍋という毎日食べても飽きない至高のメニューについて語る

投稿日:11月 4, 2019 更新日:

 肌寒くなってきた今日この頃。そう、鍋の季節ですね。

 現在は結婚して家族で暮らしているが、ひとり暮らし歴はそこそこ長かった。そんなひとり暮らし最大の壁といえば、毎日の食事である。仕事や学業、あるいは趣味にかける時間を自由に調整できたとしても、献立・買い出し・調理・後片付けという一連の流れは、どうしても時間がかかってしまう。どうしても億劫になってしまうため、コンビニご飯で済ませたり、外食が多くなったりする。

 そんなひとり暮らし時代に、私は鍋ばかりを作って食べていた。

 どれくらい鍋に熱中していたかというと、冬はもちろんのこと、夏もほぼ毎日のように鍋を作っていたほどだ。「夏に鍋は暑いでしょ!」というツッコミが聞こえてきそうだが、ちょっと待って欲しい。どうせ冷房を効かせるのである。冷やした部屋で食べる温かい鍋は、思った以上の充足感を与えてくれるのだ。北海道でアイスクリームがよく売れるのと同じ理論である。

 さて、そんな私が愛して止まない「ひとり鍋」について、これがいかに素晴らしく効率的で楽しいかということを、アピールしていきたい。

◆許される「思考の放棄」


 ひとり暮らしにおける料理の壁は、いくつかに細分化することができる。その最初に立ちはだかるのは、メニューを決める「献立」の作業、そして、必要な材料をリストアップして行う「買い物」である。

 まずもって、これが面倒くさい。「何を食べようかな」を考えるだけなら楽なのに、それを作るのは他でもない自分なのだ。よって、「食べたいメニュー」だけでなく、「作れるメニュー」と照らし合わせて思考する必要がある。加えて、冷蔵庫に現在残っている食材を思い出しながら、頭の中で足し引きを行い、不足分をカゴに加えていく。改めて文字に起こしていくと、「買い物」という行為の面倒さが際立ってくるようだ。

 この点、「ひとり鍋」は最高である。その思考を大胆に放棄することができるのだ。鍋の強みは、よっぽどじゃない限り何を入れてもそう不味くはならない、という点。いくら仕事で疲れていたとしても、鍋に入れるに値する食材か否かは判別がつく。慣れれば、ほぼ無意識にスーパーを移動し、カゴに放り込むことができるのだ。それほど、悩む必要がない。

 まずはスーパーの入り口近くにある野菜コーナーだ。白菜やえのき、人参や水菜。それらをカゴに投げ入れたら、店を奥に移動していく。お肉コーナーでは、豚肉あるいは鶏肉をセレクト。これも、その日に安かったものでも、気分によって変えても良い。基本は、たったこれだけである。あとはレジでお会計。

 このように、鍋というメニューは、食材に対する懐が広いのだ。寛大な精神の持ち主なのである。よっぽど料理が苦手な人でも、不味く作る方が難しいだろう。そして、詳しくは後述するが、出汁を変え、バリエーションを持たせることで、「飽き」の周期を遅らせることができる。すなわち、「同じような食材を無心で選んで買ってもだいたい何とかなる」のだ。これこそが、鍋の強みである。

 「ひとり鍋」という選択肢は、料理の最初に現れる「献立」「買い物」を大胆に軽減してくれる。何も考えなくても、取りあえずいつもの食材を買う。疲れている時ほど、このメリットは威力を増していくのだ。

◆コンボシステムの発動

 以下、私が「ひとり鍋」を作る際に意識していたコンボシステムについて解説する。なお、字面がかっこいいという理由だけのネーミングのため、言うほど特殊な方法論ではない。

 コンボシステムとは、鍋の材料を組み合わせ、そのバリエーションを演出する考え方である。前述のように、思考を放棄して買ってきた鍋の材料は、ともすれば同じものに偏りがちである。だからこそ、このコンボシステムを発動させることで、「ひとり鍋」をより効率よく楽しむことができるのだ。

<コンボ① 肉>

 間違いのない食材、肉。鍋に入れるなら、豚肉あるいは鶏肉がベターである。鶏肉のムネとモモについては、予算に応じて自由に選択が可。なお、食べる時に多少苦労はするものの、手羽先タイプの鶏肉もオススメである。骨ごと煮込むことで、出汁がちょっとだけ美味しさを増す。

<コンボ② 野菜>

 彩りとしても、バランスとしても、野菜を欠かすことはできない。王道の白菜にはじまり、もやし、えのき、水菜、人参、ネギ、じゃがいも、きのこ類、キャベツ。挙げていけばきりがない。その日に売場で目についたものを適当に買えば良いだろう。なお、私はえのきをたっぷりと入れるのがお気に入りである。

<コンボ③ その他の食材>

 ここが面白いポイント。鍋に入れるのは、肉や野菜だけではないのだ。例えば、魚の切り身やすり身。冷凍食品の、肉や魚でできたお団子あたりも良いだろう。私がオススメしたいのは、厚揚げ。よくおでんに入っているイメージだが、これはどんな味の鍋に入れても威力を発揮する。もちろん、普通の豆腐も外せない。このように、自分の好きな食材をアレンジしながら入れられるのが、このコンボ③である。

<コンボ④ 出汁・調味料>

 コンボシステムの肝は、この④である。重要なのは、出汁だ。どのようなスープで鍋を煮込むのか。これによって、大きく変化が出る。

 私の一押しは「白だし」。鰹節や昆布からとった出汁が元になった調味料で、どこのスーパーにも必ず置いてある。ひとり暮らしを始めたばかりの人は、まず何より「白だし」を買うべきである。めんつゆのように水で割って使うことで、まるで料亭で出てくるお吸い物のような、舌に優しい和風のスープが出来上がる。「白だし」と相性の悪い食材は、そう見つからない。

 あるいは、キムチを入れても良いだろう。私自身は辛い物が苦手なのだが、嫁さんは大のキムチ好きである。今でも家族で鍋をすると、彼女は冷蔵庫から自分用のキムチを取り出し、鍋をアレンジする。同じ出汁で作った鍋でも、全く味が変わってくるのだ。

 そして今や、鍋の出汁をアレンジする商品は、数えきれないほど発売されている。代表的なのは、エバラ食品から発売されている「プチッと鍋」シリーズ。寄せ鍋、キムチ、ちゃんこ、濃厚白湯、坦々ごま、濃厚みそ……。公式サイトによると、11種類がラインナップされている。文字通り、プチっと開いて鍋に流し込む液体スープが、小分けのポーションとなっており、使い勝手は抜群。賞味期限にさえ注意すれば、常にコレクションした上で、その日の気分によって投入しても良いだろう。お手軽である。

 あるいは、味の素の「鍋キューブ」。カレーの素をイメージしていただくと分かりやすい、固形のキューブタイプの出汁である。これを鍋にそのまま放り込むだけ。場合によっては溶けきるまでに時間がかかるため、手動で潰す必要がある……。しかし、扱いやすさはピカイチで、こちらも「プチッと鍋」のように種類が豊富なのだ。

 以上、①から④までのコンボを紹介した。コンボシステムが発動したその時、その全てを自由に組み合わせることができるのだ。しかも、買い物を終えて調理を始める、その瞬間に冷蔵庫の前で考えるだけである。

 「毎日が鍋だと飽きる」という人もいるだろう。しかし、このコンボの考え方を活用することで、同じ鍋でも全く違ったものに仕上げることができる。④の出汁・調味料が最も分かりやすいが、それに①の豚肉・鶏肉のどちらを組み合わせるか、③からは何をラインナップさせるか、②は思い切って一品を大量に入れてみよう、など、組み合わせは無限大なのである。

 このコンボシステムの利点は、「よっぽどじゃない限り味が変なことにはならない」ということだ。①~④の組み合わせは、ある程度の栄養バランスが担保できる上に、その日に冷蔵庫にあったもの、あるいは無心で買ってきた食材をテキトーに選ぶだけで、簡単に完成させることができる。

 例えば、【①鶏肉、②白菜、③魚の切り身、④白だし】というコンボと、【①豚肉、②キャベツ、③豆腐、④キムチ】というコンボだと、同じ鍋でも全く違った料理になる。しかし、調理の手順は全く同じ。このお手軽さが至高なのだ。

 コンボシステムを意識することで、連日連夜の「ひとり鍋」が簡単に実現可能なのである。

◆汎用性の高さと洗い物の少なさ


 「ひとり鍋」の利点は止まらない。

 まずは、その汎用性の高さ。前述のコンボシステムを使って鍋を作り、食した後に、それでもまだ満腹になっていないケースがある。この時、「ひとり鍋」はすぐさま次の行動に移ることができるのだ。

 事前にストックしておく必要があるが、スーパーで30円そこらで売っているうどん麺。あるいは、中華麺やちゃんぽん麺でも良い。これらを、残った出汁を再加熱して投入することで、シメの麺メニューが完成する。最初から空腹が激しい場合は、コンボシステムの③に組み込んでしまっても良いだろう。

 あるいは、冷凍しておいたご飯。「サトウのごはん」に代表されるレンジで温めるものでも良い。これらを鍋に投入し、在庫があれば卵をとかして入れたらどうだろうか。シメの雑炊が出来上がる。なお、出汁を冷蔵庫で一晩保存することで、翌朝に雑炊を作ることも可能となっている。

 別の角度から挙げると、調理が簡単という点も強い。出汁を用意して、加熱しながら食材を放り込む。慣れてくれば自分なりの順番が出来上がるかもしれないが、何をどの順に入れても、大きく味が変わることはない。そもそもが手軽さ重視の「ひとり鍋」である。そこに思考のリソースを割く必要はないだろう。とにかく投入していけば良いのだ。

 更には、洗い物が極端に少なくて済む。中サイズの鍋で調理をした後は、鍋敷きを用意し、鍋のままテーブルにどーん! ……これだけである。あとは、お玉と取り皿、お箸くらいだろうか。後片付けが楽なのも、「ひとり鍋」のストロングポイントだ。

 以上、ひたすらに「ひとり鍋」について語ってきた。最後に要点を整理しておきたい。

  •  献立や買い物といった思考を放棄し、楽に済ませることができる
  •  組み合わせ無限大の食材を用いて、「飽き」を遠ざけることができる
  •  麺や雑炊といった汎用性の高さ
  •  使う調理器具の少なさから、洗い物が少ない

 単に料理をするだけであれば、色々と凝ることができるだろう。しかし、学業で頭を使い、仕事で精神を摩耗し、趣味に体力を使ったあとの肉体は、中々どうして「料理に凝る」という選択肢を向いてはくれない。

 だからこそ、「無心で買い物を済ませ」「外れのない組み合わせでメニューを決め」「ある程度の栄養バランスを担保しつつ」「味のバリエーションを楽しみながら」「後片付けまで楽に済む」、そんな「ひとり鍋」は、単身者の力強い味方なのである。

 寒い季節になりました。ぜひ、「ひとり鍋」、お試しください。

  • この記事を書いた人
結騎 了

yuki

仕事と育児に追われながら「映画鑑賞」「ブログ更新」の時間を必死で捻出している一児の父。歳はアラサー、地方住まい。ブログを学生時代から書き続け、二度の移転を経ながら十数年継続中。『別冊映画秘宝 特撮秘宝』『リアルサウンド映画部』『週刊はてなブログ』等に寄稿。ブログURL:https://www.jigowatt121.com/

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